阿部澄夫SUMIO ABE
思えば高等学校の修学旅行で訪れた京都の古刹、龍安寺が今の仕事を目指すきっかけとなりました。枯山水の石や木々を眺めていると、それまでざわついていた心が安らぎ、温かな喜びで胸が満たされていくのを感じたのです。
その後大学へ進学して東洋史を学び、自分の将来や仕事について考え始めた時、龍安寺での感動が蘇り、ガーデンデザイナーへの道を心に決めました。
親がくれた大学の卒業祝いをすべてつぎ込み、まだ使う当てすらなかった300トンもの庭石を買い込んでしまった時の、情熱と希望に満ちた思いは、今でもありありと覚えています。
弟子入りした親方のもとを3か月で離れて独立し、以来約45年間、「心に安らぎをもたらす庭」をテーマに、石や木々たちの自然の美しさを活かした庭づくりをしてきました。そしてどれだけ作庭を続けても、新たな庭造づくりへの意欲が尽きることはありません。
私がこんなにも石や木々による創作に魅かれるのは、幼いころ毎日のように遊んだ森や渓流が原風景となり、心の奥深くから私を突き動かしているのかもしれません。
経歴
- ・明治大学にて東洋史を専攻
- ・大学卒業後、義兄から庭づくりの基本を習得
- ・1973年 独立してガーデンデザイナーとしての道をスタート
- ・1987年 有限会社真澄を設立
- ・1984年から、群馬県沼田市の臨済宗の禅寺吉祥寺の庭を手がけ、築庭から35年以上にもなる現在も継続的に作庭と提案を行う。年間約10万人もの拝観者が訪れる名園となっている。
- ・1995年~ ヴィジョン心理学を学び、人の心や魂、安らぎについて探求
- ・学芸員 景観アドバイザー